

この間、今年一番のとてもうれしい出来事がありました。
ある女性患者様の話です。
その方ははそれまで全く普通の30代前半の主婦でした。
優しい旦那さんと小学校低学年の女の子の母親でした。
ご家族で当院にお越しいただいていました。
ある日、彼女は神経炎が原因で運動神経の障害がおこり四肢の運動が麻痺するある疾患を発症したのです。
先日、女優の大原麗子さんが亡くなった病気です。
2年半前のことです、
発症後少したってから当院に再び来院するようになられました。
おそらく、四肢がうまく動かないため虫歯を多く作ってしまったのだと思います。
虫歯が多発していたため通院回数は多くなり、期間も長くなることが想像できました。
彼女は松葉づえをつきながら当院に通うことになりました。
四肢の運動機能はだんだん衰えていきました。
少しずつ悪化して、手足が動きにくくなっていくのが診療に来られる度に分かりました。
しかし、彼女は弱音を一切口にしませんでした。それどころか同情されることを非常に嫌いました。
予約日はいつも誰の力もかりずにたった一人で1キロ近く先のマンションから松葉づえを使って足を引きずるようにして、必死で来院してくるのです。
とにかく痛々しいくらいに頑張って来院してくるのです。
病気と闘っているのです。
しかし、自分の足がどんどん痩せ細っていっても、手足が動かなくなっても、弱音を吐かないのです。
がんばるんです。
いつも前を向いて、がんばっているのです。
一通りの治療が終わるころには、病状はかなり悪化していて、
彼女の足は痩せ細って私の腕ほどの太さになっていました。
(私は痩せているので、腕は他の男性よりもかなり細いほうです。)
私は、虫歯と歯ぐきのことしか診ることができません。何もできない自分にもどかしさを感じていました。
それから2年が経ちました。
その患者様のことを時々思いだすことがあります。
どうしてるのだろうか?
大原麗子さんみたいになっていないだろうか?
先日、その方が来院されたのです。
なんと、以前より少し手足が動くようになり、
手足も以前よりも太くなっていて、しっかりしていたのです。
以前の病状が悪化していた時の彼女の心境が痛いほどわかっていたので、この日は本当にうれしかったです。
診療用のゴーグルの内側で涙が止まりませんでした。
もう、うれしくて、うれしくて、しかたがありませんでした。
自分を信じて、あきらめずに頑張ること・・・・・大切ですね。
あらためて、考えさせられました。
2010年 6月 17日
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