歯科の豆知識

卵は良質なたんぱく質の宝庫!

2月を過ぎると、子どもと一緒にひな壇の飾り付けを始めるご家庭も多いのではないでしょうか?

お雛様のきれいな姿に、心奪われる子どもたちもたくさんいることと思います。

ひな祭りは、桃の節句である3月3日に女の子の健やかな成長を願うための行事です。

もともとは節句と呼ばれる季節の節目には邪気がたまりやすいとされていたため、

邪気を払う目的でさまざまな厄払いが行われていました。

 

●お雛様はどっちに飾る?

皆さん、どちらが正しいお雛様の並べ方だと思いますか?

実は、どちらも正しい並べ方なのです。

京都のお雛様

このような並べ方は京雛と呼ばれます。違和感のある方もいらっしゃるかもしれませんが、昔はこの並べ方が一般的でした。

国際的な序列

お雛様が現在のような飾り方に移り変わった大きな理由に、この国際的な序列が影響しています。

もともと日本では右に行くほど序列が高いとされていました。

今のような左にお内裏様、右にお雛様がくるように飾り付けするようになったのは、国際的な序列に合わせたからだといわれています。

ですから、どちらの並べ方も間違いではありませんよ。

 

そんなひな祭りと言えば、定番のちらし寿司!

 

地域柄やご家庭ごとで飾り付けや具材に違いがあると思います。

・海老
・レンコン
・卵

これらは一般的なちらし寿司で使われることの多い具材です。

おせち料理と同じように、海老は腰が曲がるくらいまで長生きできるように、レンコンは将来が見通しやすいように、という願いが込められて使用される具材もあります。

そして卵の黄色がお寿司を華やかにしてくれますよね。でもこの卵、綺麗な色だけでなく、もっと重要な役目があるんですよ!

今回は卵についてみていきましょう。

●卵は良質なたんぱく質の宝庫!

たんぱく質と聞くと、お肉や魚のイメージがあると思いますが、実はそれよりもはるかに優れたたんぱく質源が卵です!たんぱく質というのは、アミノ酸からつくられています。

アミノ酸にはさまざまな種類がありますが、食事から取り入れなければならない種類のアミノ酸を必須アミノ酸と呼んでいます。
必須アミノ酸は全部で9種類です。そして、この必須アミノ酸のバランスが何より大切なのです。

下の図を見てください。

右桶の水のように、どれか一つでも必須アミノ酸が欠けていると、他のアミノ酸がどれだけ豊富に含まれていても
あまり効果的ではないのです。これを指標にしたものを、アミノ酸スコアと呼びます。

 

スコア表 

2005年厚生労働省の「栄養指導Ⅲ (表III-1-11)食品のアミノ酸スコア」より

 

アミノ酸スコアは0から100まで数値化され、100に近いほど欠けの少ない桶(左の桶)=良質なたんぱく質源になります。
主に動物性食品のアミノ酸スコアの高く、牛肉・豚肉・鶏肉どれも100です。
これに対し植物性は低くなることが多く、プロテインの原料として使われる大豆でも83、じゃがいもでも73と100には届きません。

ですので、同じ量のたんぱく質を牛肉または大豆から食べたとしても、牛肉の方がより効率的にたんぱく質を摂取できることになります。卵もアミノ酸スコアが100の食材で、良質なたんぱく質源といえます。

歯科治療においては特に歯肉の健康状態が大切になりますが、歯肉の60%を占めるコラーゲンはたんぱく質と鉄、ビタミンCから作られています。

歯肉は新陳代謝が早く、敏感で変化が表れやすいのが特徴です。

細胞の入れ替わりの周期は、皮膚では28日、骨では200日とされていますが、歯肉ではなんと5日。

ということは、栄養状態がダイレクトに影響されるので、毎日の食事がとても大切になってきます。

たんぱく質がしっかり摂れていれば、歯肉からの出血や炎症なども改善しやすくなりますが、足りていなければ歯科治療を受けていてもなかなか治らない…なんていうこともあります。

また病原体を排除する機能をもつ”唾液”もムチンというたんぱく質の一種から作られているので、口が乾きやすい、口臭が気になる、虫歯や歯周病などの炎症がある方もたんぱく質は必須です。

歯にも、身体にも大切な「タンパク質」手軽に摂ることができる「鶏卵」も見直してみてくださいね。だからといって、卵も食べ過ぎると飽和脂肪酸の過剰摂取になってしまいかねません。なので、一日に1~2個くらいにしておくのがいいでしょう。

どんな食べ物も「食べ過ぎ」には注意して、バランスの良い食事を心がけてくださいね。

 

 

監修:たけち歯科クリニック 管理栄養士 栗木千明
参考:ひなまつりについて 京都総合観光案内