口臭

口臭は自分ではなかなか気づけないデリケートなお悩みだと思います。
口臭の原因を知ることにより予防にもつながります。

口臭は自分ではなかなか気づけないのに、他人から指摘されるととてもつらい、デリケートなお悩みだと思います。
一度口臭を指摘されると、それ以来気になって人前で口を開けられないという方もいらっしゃいます。
特に口臭があるわけではなくても、マスクをつけたり、至近距離で誰かと話したりするときは、より一層自分のお口のニオイが気になるのではないでしょうか。

口臭の原因

ニンニクやキムチなど刺激臭のあるものを食べたときに起こる一時的なものを除くと、口臭には大きく2つの種類があります。どれか1つだけが原因というわけではなく、いろいろな要因が重なって不快なニオイを生み出していることもあります。

01.生理的口臭

生理的口臭はどんな方にでもあるニオイで、起床直後、空腹時、緊張時は特に強くなります。お口の中は唾液によって浄化されていますが、唾液量が少なくなると細菌が増殖して嫌なニオイ(揮発性硫黄化合物)が発生します。朝起きたときに何となく口臭が気になるというのも、寝ている間の口呼吸や唾液分泌量の減少によってお口の中が乾燥して引き起こされる自然な現象です。普段から口呼吸をしている方や鼻がつまっている状態の方もこういった生理的口臭が起きやすいでしょう。しかし、歯みがきで細菌を減らし、食事をしたり、水分を補給したりすることで唾液量が増加すれば口臭は弱まります。生活習慣の改善でよくなり、治療の必要がありません。

02.病的口臭

口臭でお悩みの方に多いのが、この病的口臭です。病的口臭には全身の病気が関係しているものと、お口の中の状態が関係しているものがあります。鼻やのどの病気、呼吸器系の病気、消化器系の病気、糖尿病、肝臓疾患などの全身の病気が原因で口臭が起こる場合もありますが、病的口臭の90%以上はお口の中にその原因があるといわれています。歯周病、むし歯、不適合のかぶせもの、舌苔などがその原因としてあげられます。

歯周病
歯周病は口臭の大きな原因となります。歯周病が進むと、歯周ポケットと呼ばれる溝が深くなり、そこに歯垢や歯石が溜まっていくと、細菌が大量に繁殖します。さらにこの状態を放置していると、歯周ポケットから膿が出るようになります。この膿も強烈なニオイのもととなるため、今まで以上に周りの人から口臭を指摘されるようになるのです。歯周病にならない、もしくはこれ以上進行させないためには、毎日の丁寧なセルフケアと歯科医院で定期的な歯石の除去を行い、お口の中の細菌量を減らすことがとても重要です。口臭予防のためだけではなく、歯周病は将来の自分の歯に大きな影響を与えるため、しばらく歯医者さんに通えていないという方は早めの受診を心がけましょう。
むし歯
むし歯は独特のニオイを持っています。細菌がむし歯の穴の中に溜まることでニオイがきつくなり、口臭の原因となります。小さなむし歯で口臭が強くなることはありません。しかし、むし歯が進行してくると次第に口臭がきつくなっていきます。むし歯が進行すると、神経の部屋を通じて細菌が歯の根っこ(根尖部)に侵入し始めます。すると根尖部の周囲組織に炎症が起こり、膿が溜まっていきます。人によってはその付近の歯ぐきが口内炎のようにぷくっと膨らむ方もいらっしゃいます。歯周病と同様に膿は強烈なニオイのもととなりますので、口臭に注意が必要です。状態によって治療方法が変わりますので、万が一こういった症状にお悩みでしたら早急に受診されることをおすすめいたします。
不適合のつめもの、かぶせもの
特に保険診療の銀やプラスチックでつめたりかぶせたりすると、細菌や歯垢がつきやすくなります。目に見えないすき間に菌が繁殖して、知らず知らずのうちにむし歯が進み、そのすき間がさらに大きくなって細菌の溜まり場ができてしまうことがあります。これらが口臭の原因となることもあります。つめものやかぶせものを選ばれる際、細菌や歯垢の付きにくいセラミック素材を選ばれると、こういった2次的なリスクを低減させることができます。
舌苔
舌苔(ぜったい)と呼ばれる舌の表面についた白い苔のようなものも口臭の原因となります。歯磨きをしなかったり食事をよく噛んで食べなかったりするとこの舌苔が増殖するので、普段の食生活や歯磨き習慣を見直すことも大切です。薬局やドラッグストアで舌専用のケアグッズも販売されていますので、起床時のお手入れに追加すると有効です。

03.喫煙

タバコの煙に含まれる、タールとニコチン。この2つの成分が口臭に大きく影響します。タールは「ヤニ」と呼ばれる成分で、これ自体が独特の臭いを発します。喫煙後、タバコのフィルター部分に見える茶色のシミはタールによるもので、舌や歯、歯垢、歯石などにも付着します。そのため、口腔内にタールの臭いが残り、それが口臭の原因になると考えられています。また、ニコチンは喫煙により体内に吸収されます。その後、毛細血管は収縮し、血行は低下します。喫煙による毛細血管の収縮や免疫の低下によって、末梢の細胞の壊死が引き起こされることもあり、うまく新陳代謝されずにプラークや歯石に壊死した細胞が老廃物として蓄積されていきます。そして、歯周組織にダメージを与え、歯肉の炎症を悪化させます。また、毛細血管の収縮は唾液腺の栄養の供給を滞らるため、唾液の分泌量が低下し、お口の中の自浄機能は衰弱化します。そのため、食物の残渣は滞留しがちになり、口腔内の病的な細菌数は増加します。 そのため、口臭の強さはさらに悪化していきます。

04.心理的口臭

実際は口臭がほとんどないにも関わらず自分自身で強いニオイがあると思い込む方がいらっしゃいます。