歯科の豆知識

子どもの歯と大人の歯の違いって?

 

●乳歯の生え方

生後6か月~9か月ごろに生えてくる乳歯。個人差はありますが、多くの場合、乳歯は下の前歯2本から生え始め、2~3歳ですべての乳歯20本が生えそろいます。

 

・6か月ごろ下の前歯2本(乳中切歯)が生えてくる

・10か月ごろ上の前歯2本(乳中切歯)が生えてくる

・1歳ごろ生えてきた上下の前歯の隣に1本ずつ(乳側切歯)生えて、計8本になる

・1歳半ごろ最初の奥歯(第1乳臼歯)が4本生えてくる

・2歳ごろ前歯と奥歯の間の歯(乳犬歯)が生えてくる

・2歳半ごろ奥歯(第2乳臼歯)が生えて、20本の乳歯がそろう

 

子どもの乳歯が生え揃うと20本になりますが、最初から歯が作られなかったり、2本の歯がくっついて生えてきたりして、20本より少なくなることを「先天欠如」などといいます。だいたい50人~100人に1人の割合で起こる現象で、3歳以降になっても20本が生え揃わなければ、先天欠如の可能性があります。

ただし先天欠如だからといって、永久歯も足りなくなるわけではありません。永久歯に生え変わる6歳くらいのころに、歯科で調べてもらい、永久歯に影響があるかどうか、歯並びやかみ合わせは今後どうなるのかなどについて相談しましょう。場合によっては矯正治療などを検討します。

 

●乳歯から永久歯への生えかわり

顔や顎、さらには全身の成長に対応するために、乳歯から永久歯へと少しずつ生えかわっていきます。6歳ごろになると、初めての永久歯が生えてきます。そこから乳歯が抜けはじめ、12歳ごろにはすべての乳歯が永久歯へと生え変わります。

 

  1. 顎の中(乳歯の下)で永久歯のもとになる歯胚ができ、時間をかけて成長していきます。
  2. 永久歯の歯冠部が完成し、歯の根の部分が作られ始めると、乳歯の根を溶かす細胞が現れ、
    永久歯の上にある乳歯の根は少しずつ溶かされていきます。
  3. 乳歯の根が溶けていくと、乳歯はグラグラになり抜け落ち、永久歯が顔を出します。

人によっては、20歳前後で親知らずと呼ばれる第3大臼歯が生えてきます。親知らずの有無や生え方には非常に個人差があるため、中には30、40代になって生えてきたという方もいらっしゃいます。

 

●乳歯と永久歯の違い

違いといわれると、何となく歯が小さいだけ?と想像されるかもしれません。それ以外にも乳歯と永久歯には大きな違いがあります。

 

図のように、乳歯のエナメル質・象牙質の厚みは永久歯の半分程度と薄くなっています。
また乳歯は永久歯に比べてやわらかく、汚れが付きやすいという特徴があります。乳歯のむし歯の進行が早いといわれるのは、こういったことが原因です。ちょっと前まではまだ黒いシミがある?くらいだったのに、気付いたら大きな穴になっていて「イタイ」と言い出したから急いで歯医者に来ましたという保護者の方も少なくありません。これはむし歯が短期間にエナメル質や象牙質を通りこして、歯の神経である歯髄にまで達してしまうからなのです。

さらにお子様の中には生まれつきエナメル質がうまくつくられない「エナメル質形成不全症」を発症している方もいらっしゃいます。これは歯の一部で起こることもあれば、歯全体に形成不全が起こることもあります。ただでさえむし歯になりやすい乳歯ですから、より一層注意してケアする必要があります。

 

●永久歯になったらむし歯になりにくい?

そんなことはありません。乳歯に比べてエナメル質や象牙質はたしかに厚みを増しますが、セルフケアを怠ったり、糖分の多い食品を好んで摂取していたりすると、すぐむし歯になってしまいます。

特に生えたての永久歯は、歯質そのものが未成熟です。歯の表面が粗く汚れがつきやすくなっていることに加え、酸にも溶けやすいことから非常にむし歯になりやすい状態にあります。2年ほどはこの状態が続きますから、今後一生使う歯を守るためにも生えたてのこの時期にむし歯をつくらないようにすることが大切です。

その後、唾液中のカルシウムなどのミネラルが少しずつ歯に入り込んでいくことで、通常の永久歯の硬さと強さになっていきます。

 

●乳歯がなかなか抜けない!

 乳歯がグラグラし始めていたら、自然に抜けるのを待っていれば大丈夫です。グラグラしていてもなかなか抜けない場合、乳歯の色がピンク色になったり黒ずんできたりすることがありますが、生えかわりがスムーズにいっていないだけですので心配はいりません。

 

ただし、乳歯が抜けないまま永久歯が裏側や横から生えてきたり、すき間に細菌が入って歯肉が腫れてしまったりしているようなら、場合によっては乳歯を抜くことをおすすめいたします。少しでも気になる症状がある場合は、かかりつけの歯科医院を受診してみてください。

その他にも、グラグラしているのが気になってお子さんが物事に集中できなかったり、ごはんを食べる時に痛がったりなど、日常生活に支障が出る場合は、自然に抜けるのは待たずに早めに乳歯を抜いてもらうのも一つの方法です。

 

 

 

 

 

参考:ライオン 育児と乳歯の情報サイト「ママ、あのね。」  
   ライオン歯科衛生研究所 歯と口の基礎知識 「歯の生え変わり