歯科の豆知識

知らぬ間に出来ている痛いヤツ!その名は「口内炎」

■知らぬ間に出来ている痛いヤツ!その名は「口内炎」

 

ちょっと「疲れたなぁ~」と思っていたら、

いつの間にかできている「口内炎」。あなたも経験ありませんか?

ちいさいデキモノなのに、結構何をしても痛いんですよね、これが!

 

「口内炎」とは、口の中の粘膜や舌に起こる炎症のことをいいます。

「カタル性口内炎」「ヘルペス性口内炎」「カンジダ性口内炎」「ニコチン性口内炎」など色々種類がありますが、

一番多いのが「アフタ性口内炎」です。

約直径5ミリ程度の白い潰瘍ができますが、1週間ほどで自然に治る場合がほとんどです。

口内炎の出来やすい場所は上図の通りです。なんとなく、覚えがありませんか?

 

■口内炎の原因と予防

主な原因としては、誤って噛んでしまったり、歯ブラシが当たって口の粘膜に傷ができたり、

ウイルス・かび・細菌の感染や金属アレルギーなど口の中の原因によって起こる場合と、

ビタミン不足などによる栄養障害や、自己免疫異常の病気、薬物アレルギーなど、全身的な原因によって起こる場合があります。

 

一般的に多い「アフタ性口内炎」の原因には、

  • 免疫力の低下
  • ストレスや栄養不足(ビタミンB2)
  • 傷口からの細菌やウイルス
  • ホルモンバランスの乱れ(女性)  等があります。

 

 

偏った食生活による栄養不足で発生する口内炎は、

特に皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンB2,B6,Cが不足するとなりやすくなります。

緑黄色野菜をたくさんとり、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

または、サプリメントやビタミン剤を利用することも有効です。

 

  • ビタミンB2を多く含む食品(推奨量6mg  例:真サバg 0.28mg)

 →落花生などの豆類、酵母、レバー、牛乳、卵、緑黄色野菜

 ビタミンB2は熱には強いですが、光によって分解されやすいです。

 アルカリ性のもの(重曹など)で加熱すると分解されてしまいます。

 

  • ビタミンB6を多く含む食品(推奨量4mg 例:若鶏胸肉0.54mg)

 →野菜、魚介類、肉類など

 特にマグロ(赤身)には多く含まれています。

 食事以外では、腸内細菌によって合成され、供給されています。

 

  • ビタミンCを多く含む食品(推奨量100mg 例:柿70mg)

 →みかん、いちご、ブロッコリー、ほうれん草、ピーマン、イモ類、緑茶

 風邪やインフルエンザの時に必要量が上がります。

 熱に弱いですが、ジャガイモやサツイマイモなどはビタミンCがでんぷんにより保護されるため、

 調理後にもほとんど分解されません。

 

口内炎にならないために、できるだけ以下のことに気を付けましょう。

  • 日頃からストレスをためない生活を心がけましょう
  • ストレス発散できる趣味や時間を設け、質の良い睡眠を十分にとりましょう
  • 何よりも日頃から口内を清潔にしておきましょう
  • 栄養バランスを考えた食習慣を心掛けてみてください

 

■口内炎になってしまったら…

  • 水分を十分にとるようにしましょう(温度は人間の体温と同じくらいがいいです)
  • 刺激物になる、しょうゆ、香辛料、たばこ、お酒、炭酸飲料などはできるだけ控えましょう
  • 口の中を清潔に保つために、歯磨き、うがいを心がけましょう
  • 歯を磨くときに、患部を傷つけないように気をつけましょう

 

 

口内炎になってしまった時の食事については、当院の管理栄養士にお気軽にご相談くださいね!

 

■それって本当に口内炎ですか?

口内炎は治療を行わなくても1~2週間すれば自然と治っていくものです。
しかし、それ以上に口内炎が続いたり、再発を繰り返したりするなら、他の病気を発症している可能性があります。

以下が、口内炎以外に考えられる病気です。

「口腔がん」「ベーチェット病」「天疱瘡」「白血病」「悪性リンパ腫」など

  • 口内炎が口の中にたくさんできた
  • 水ぶくれが破れて口内炎になった
  • 口内炎の斑点が急に広がりはじめた
  • 皮膚の発疹など全身症状がある
  • 2週間以上たっても治らない

などの場合は、病院を受診してください。

 

口腔がんの症状は口内炎とほとんど変わらないので判別がつきにくく放置してしまい、がんが進行するケースが多いため注意が必要です。

口腔がんは、他のがんに比べて死亡率、罹患(りかん)率は低いです。

死亡率は男性が8.6%、女性が3.3%。罹患率は男性が21%、女性は8.8%といずれも男性が高くなっています。

一方で5年後の生存率では男性57.3%、女性66.8%。10年後の生存率は男性41.4%、女性53.6%と5~6割の確率となっています。

いくら死亡率が低いとはいえ、早めに治療しなければ命に関わります。

口内炎が長期的に治らない場合は早めに医療機関を受診する必要があります。

 

口腔内を傷つける原因となる、合わない入れ歯や破れた被せ物、治療していない虫歯があれば放置せずに歯科医師の治療を受けることも大切なことです。

定期的に歯科医院に通い、診療やクリーニングなどを受けることで口内炎や口腔がんのリスクを下げる事に繋がるのです。

皆さんも「たかが口内炎」と軽く思わず、日々の生活の中で予防に取り組んでいきましょう。

 

参考サイト

  • 第一三共製薬 トラフルー口内炎  https://www.daiichisankyo-co.jp/site_traful/club/
  • 社会福祉法人恩賜財団 済生会HP https://www.saiseikai.or.jp/
  • 公益社団法人 日本歯科衛生士会 https://www.jdha.or.jp/
  • 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/index.html