歯科の豆知識

「いびき」を侮るな!一歩間違えば命取りに?!

あなたは自分のいびきで目が覚めた!とか、家族や周囲から「いびきをかいてたよ」と教えられたことはありませんか?日常で、いびきは誰でもするものであまり気にしていない人も多いと思います。

でも、いびきは現代病のひとつ「睡眠時無呼吸」の兆候でもあるのです!

あのうるさい「いびき」の音は、気道が狭くなって、そこを通る空気がのどを振り動かすことにより出ているって知っていましたか?

「歯医者さんなのに、なんでいびきや睡眠時無呼吸の話なの?」と思われるかもしれませんが、実はこの睡眠時無呼吸は歯科ともかかわりがあるからです!

 

・患者様が診療時ユニットで横になったとたんに寝てしまう。

 

・浅い睡眠による「歯ぎしり」からすり減った歯。

 

・頬や舌に残る食いしばりの痕。

 

・かぶせ物やつめものの傷み。

 

など、患者様の色々な兆候により「もしや?」と気づく事が実際に多々あるのです。

では睡眠時無呼吸とは具体的にどんな症状なのでしょうか?

●寝ているあいだに酸欠に?

寝ながらいびきをかく人の約7割が「睡眠時無呼吸症候群」だといわれています。

仰向けで寝ると舌や軟口蓋が気道を狭くし、筋肉の緊張も緩んだ状態になっています。そして気道が閉鎖されていきます。

 

睡眠時無呼吸の種類は「中枢型」「閉鎖型」「混合型」の3つがあります。

1. 脳や神経などの異常でおこる「中枢型」

2. 肥満などによりノドが塞がってしまう「閉塞型」

3. 中枢型と閉塞型が混ざった「混合型」

今回は歯科との関わりが深い2の「閉塞型」の睡眠時無呼吸について詳しくみていきましょう。

睡眠中に呼吸が10秒以上とまったり、1時間に5回以上の無呼吸状態があれば睡眠時無呼吸症候群といわれます。

「寝ている間、一瞬息が止まっているだけじゃない!」なんて軽く思わないでください。

睡眠時に無呼吸になることは心臓、脳、血管に負担をかけます。それにより高血圧、糖尿病、脳卒中、狭心症や心筋梗塞、認知症の危険性を高めてしまい、放置すると命にかかわりかねません。

何より怖いのは、この閉鎖型睡眠時無呼吸を無意識で続けていることが怖いのです。

 

 

睡眠中の健康な呼吸は上左図のように息の通りがスムーズです。

でも、いびきをかく人は、上右の図のように空気の通りがふさがりかけて低呼吸になり、酸欠気味になります。さらに閉鎖型睡眠時無呼吸の人は気道がふさがり無呼吸になり酸欠になっているのです。

酸欠になると、疲労回復がしにくく、眠りが浅くなるせいで歯ぎしりや噛みしめが起きやすくなります。

また、

・扁桃腺が大きい。

・口を開けてものどちんこ(口蓋垂)が見えない。

・太っている。

・鼻が悪く、口呼吸をしている。

・顔と首が細い。

などの方もなりやすいので注意してくださいね。

肥満による睡眠時無呼吸はイメージ的にも分かりやすいのですが、日本人は肥満じゃなくても、もともと顎が小さいので発症しやすいのです。

 

●大人だけじゃない。子供のいびきも要注意

また、これは大人にだけ起こる症状ではありません。子供さんでもいびきをかいていたら要注意です。

 

 

子供さんの場合は扁桃腺が大きいことが原因になることがあります。深刻な症状が出る前に検査したり切除したりして対策をおすすめします。なぜなら、発育障害、注意欠陥、多動性障害などを併発するリスクが高まるからです。

 

「たかがいびき、されどいびき」ですが、睡眠時無呼吸になれば健康被害は大きく、中等症や重症の方の場合は8年間放置すると生存率が6割になってしまう事が明らかになっているほどです。

また、自分の命だけではなく、居眠り運転などで人の命も奪うことにつながる非常に危険な病気だということをお忘れなく。

 

家族にいびきを指摘されたり、日中眠くて仕方ないという方はぜひ一度専門医科を受診してみてくださいね。

※たけち歯科クリニックの「睡眠時無呼吸症候群」のページ

 

 

 

参考:クインテッセンス出版 2021年5月号「特集 歯科で気づく!閉鎖性睡眠時無呼吸」p10~p.23
Doctors File 2019/12/12 「睡眠時無呼吸症候群」から