歯科の豆知識

金属アレルギーの原因は「歯」?!

「昔は大丈夫だったのに、いつの間にか金属アレルギーになってしまった」

このような経験をされた方はいらっしゃいませんか?

もしかしたらそれ、歯のつめもの・かぶせものが原因かもしれません。

 

むし歯になった歯を治療するには、歯を削るしかありません。

削った部分にはつめものやかぶせものをして修復するのですが、実は修復する材料にはさまざまな種類があり、
それによって金属アレルギーになってしまうことがあるのです。

 

●つめもの・かぶせものの種類

つめものやかぶせものには大きく2つの種類があります。

・保険適用のつめもの・かぶせもの

一般的に広く普及している材料です。保険証の提示で3割負担となり、費用を安くおさえて修復することができます。
特に歯科医院からの案内や患者様からのご希望がない限り、この材料を使用することになります。

・保険適用外のつめもの・かぶせもの

保険証を提示しても負担額は低減しません。そのため10割負担=自費治療と呼ばれる修復の仕方です。
歯科医院ごとに取り扱う材料や費用を自由に決定できるので、より繊細な治療が可能となります。

これまでの歯科治療では、保険適用のつめもの・かぶせもので修復することが当たり前でした。
そのため、これらの材料で治療することのリスク・デメリットを説明することや、それを承諾する過程が暗黙の了解で省略されていました。

その結果、保険適用のつめもの・かぶせものの「後遺症」を、多くの日本人が被っているのです。

●保険治療とは?

では、そもそも保険治療とはなんでしょうか?車を例に考えてみましょう。

車を運転するためには、自賠責保険に加入しなければなりません。
自賠責保険は、自分の運転によって他人を負傷させたり死亡させたりした場合に、相手方に保険金が支払われる保険です。ですが、一般的に車を運転する方は自賠責保険だけでなく、対物賠償や自分への補償がある自動車保険にも加入されていることがほとんどではないでしょうか?

この自賠責保険にあたるのが保険治療で、それだけではカバーしきれない損害を補てんする自動車保険にあたるのが保険外治療です。

 

●●保険治療の「後遺症」とは?

はじめに申し上げますが、保険治療が悪いというわけでは決してありません。
自賠責保険のように、保険治療は誰もが必要とする最小限の治療を担ってくれています。
時と場合に応じてどの治療を選択するのがよいのかを考えることが大切です。

では「後遺症」とはなんでしょうか?

 

それは、冒頭で触れた金属アレルギーです。

保険治療の場合、深めのむし歯の治療に使用される材料は「金属」です。この金属のつめもの・かぶせものは、数種類の金属が混ざった合金からつくられています。よく「銀のつめもの」と呼ばれるものですね。

実はこの合金、1961年の国民皆保険制度が成立したときからまったく見直されておらず、海外では金属アレルギーの恐れがあるとして使用を禁止している例があるほど、時代遅れの材料と呼ばれているのです。

たしかに海外の方で歯に金属が入っているのをあまり見ませんよね。

そして厄介なことに、この合金が原因となって引き起こされる金属アレルギーは、遅れて発症します。
花粉症と同じタイプだと思ってください。

さらに厄介なことに、原因が歯の金属であると特定しにくいのです。

 

 

私たちは日常生活のあらゆる場面で、金属に触れています。

女性だとアクセサリー類を身につけますし、業種によっては金属製品を常備しているということもあるでしょう。

もしこの歯の合金が原因で金属アレルギーになっていても、身につけるアクセサリー類や製品を違うものに変えれば、一時的に症状は落ち着くかもしれません。

そうなると、根本的な原因は解決していないにも関わらず、「あれが原因だったんだ!」と安心してしまい、また次に症状が出て…といたちごっこになるのです。

また皮膚科によっても対応がまちまちで、よほどアレルギーテストに力を入れているところではない限り、歯の金属が原因かどうかまで検査、診断しないことがほとんどです。

多くの場合でかゆみ止めの塗り薬や飲み薬を処方して様子見を促されると思います。

 

●他にもある「後遺症」

保険適用の合金による「後遺症」は他にもあります。

「銀のつめもの·かぶせものをしたのに、またむし歯になっていた」ということがありませんか?
それは劣化と変形です。

強度的には非常に強い金属ですが、劣化や変形の起こりやすい素材でもあります。保険適用の合金は1円玉や10円玉の成分に近いといわれています。発行年度が古いと、すごく錆びているものや、すり減って文字が読みにくいもの、端の方が欠けているものがあったりしますよね。

これと同じことが合金でもいえます。むしろお口の中の合金の方が、1円玉や10円玉よりも劣悪な環境に置かれているといえるかもしれません。

お口の中は常に唾液で満たされています。かと思えば飲食の度に酸っぱいもの、甘いもの、熱いもの、冷たいもの、硬いものに侵されたり、歯ぎしり・食いしばりによって強い力が加わったり…現実では起こりえないほどにめまぐるしく変化する環境なのです。

その中に1円玉や10円玉が置かれていたらどうでしょう?すぐに劣化してしまいそうな気がしませんか?

 

私たちは普段、自分の口の中をじっくり見ることはありませんし、場所によっては自分では確認しにくいこともあります。そして気付かないうちに金属が劣化、変形し、そのすき間からむし歯が進行してしまうのです。また金属の下で広がるむし歯は、早期だとレントゲンには映らないこともあります。

つまり、ある程度進行してからでないと、発見することも困難なのです。

 

●そこで保険外治療のつめもの・かぶせもの!

 

こうしたことを防ぐためにも、金属を使わない、あるいはアレルギーの原因となりにくい金属のつめもの・かぶせものをお勧めします。

これらの材料は、保険外治療で選択することが可能です。

良心的な歯科医院だと、どんな材料があるのか、どんなメリットがあるのか、自分にぴったりなものは何かなど、保険適用内・外にかかわらず、状態に応じた提案をしてくれるでしょう。

 

当院では、みなさまがより健康で快適な人生を送れるように、さまざまなメニューをご用意しております。

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