歯科の豆知識

治らない口臭、なぜ起こる?

口臭は自分ではなかなか気づけないのに他人から指摘されると、とてもつらいデリケートなお悩みだと思います。

一度口臭を指摘されると、それ以来気になって人前で口を開けられないという方もいらっしゃいます。

特に口臭があるわけではなくても、マスクをつけたり、至近距離で誰かと話したりするときは、より一層自分のお口のニオイが気になるのではないでしょうか。

 

●口臭の原因

口臭には大きく2つの種類があります。そのうちのどれか一つだけが原因というわけではなく、いろんな要因が重なって不快なニオイを生み出していることもよくあります。

・生理的口臭

・病的口臭

まず、生理的口臭は、どなたにでもある自然な口臭です。

たとえば、朝起きたときの口臭が気になるのはこれに当てはまります。

特に寝ている時に「口呼吸」をしている場合は、歯肉が炎症を起こし歯周病になったり、口腔内が乾燥しますので口臭が強くなりやすいのです。

また睡眠時は唾液分泌量も減少しますので、どうしてもニオイが出やすくなってしまいます。

 

また、「口呼吸」をしていると細菌が直接入ってきて免疫力が下がり、風邪やインフルエンザなどにもかかりやすくなってしまいます。

それ以外にも扁桃腺肥大、睡眠時無呼吸症候群、アトピー性皮膚炎、鼻づまり、いびきの原因になるので、なるべく「鼻呼吸」にすることが大切です。

鼻は天然の空気清浄機、加湿器の役割を果たしており、入ってきた細菌を防ぐフィルターの役割をしてくれたりします。新型コロナウイルスの感染予防にも口臭を抑えることにも「鼻呼吸」は効果的です。

他にも空腹時の口臭、または緊張した状態でも、唾液の分泌が少なくなり口臭は出てきます。

 

●一般的な口臭の大きな問題は、病的な口臭です

胃、腸など内臓消化器系の病気、口の中では、虫歯、適合の悪い被せものをしている場合がありますが、こうしたいろいろな病気のなかでも、もっとも口臭の原因となりやすいのは、歯周病です。

歯周病治療をすることによって、口臭を抑えることが出来ることが多いのです。

虫歯で穴が開いていたり、歯茎が腫れている人は、たいてい口臭があると感じます。

歯科医院できちんと歯科治療、歯周治療をすることによって、口臭を大きく改善し抑えることが出来ます。

 

●口臭の原因となる口腔内のトラブル

歯の周りには、歯肉に覆われた歯周ポケットが存在しています。

歯周病が進行していくと、どんどんこの歯周ポケットが深くなっていきます。そこに歯垢(プラーク)や歯石が溜まってしまうのですが、これは通常の歯磨きでは落ちません。

この溜まった歯垢などをエネルギーとして、硫化水素やメチルメルカプタンなどを含む歯周病を引き起こす細菌が口臭の原因となるガス(揮発性硫黄化合物)を生成します。これが、歯周病による口臭の原因です。歯垢や歯石が溜まってしまい、歯周病が進行し、それを繰り返すことから、口臭の原因物質となる細菌がニオイを出し続ける。この悪循環により細菌にとって最高の環境を与えてしまうことになるのです。

また、歯周病が進行して症状が重くなると歯槽膿漏となり、膿による口臭も深刻なものとなります。

 

●虫歯、古い詰めもの、被せものによる口臭

虫歯が進行し、虫歯菌が歯の根っこまで到達してしまうと、その先の歯周組織が膿んでしまうことがあります。そうなると重度の歯周病と同じように、膿による口臭に悩まされることとなります。

また、保険診療にて取り付けた古い金属の詰めものや被せものも、歯垢が詰まったり虫歯が再発するリスクが高く、それらが口臭の原因となっている場合があります。

 

●舌苔による口臭

こちらはいわゆる生理的口臭の原因となるものです。

舌苔とは、舌の表面についた白い苔のようなものです。これは何かというと、様々な細菌や食べ物の残りカス、ご自身の口腔内の古い細胞などが舌に付着したものです。

舌苔がない人はいませんが、これがあまりにも増えてしまうと口臭を引き起こします。

増え過ぎてしまう原因として、食べ物をしっかり噛んで飲み込んでいないこと、唾液の分泌が少ないことがあげられます。人は食事の際に食べ物をしっかり噛んで飲み込むことにより、知らないうちに舌を綺麗にしています。

また、しっかり噛むことに伴う唾液の分泌も重要です。唾液は舌を綺麗にするだけでなく、口臭の原因となる細菌の活動を抑制する効果もあります。寝起きの口臭が気になるのは、寝ている間は唾液の分泌が少ないため、細菌の活動が活発になっているからです。

大切な歯を守るためぜひ定期検診にお越しください!

健康な歯を失いしっかり噛めなくなることは、舌苔の蓄積を増進させ口臭を引き起こす悪循環となるのです。

 

●口臭を防ぐには?

口臭の原因となる歯周病や虫歯の発生を抑えるためには、朝昼晩の食後の歯磨きが大切です。

その中で最も重要なのが、夜の寝る前の歯磨きです。

歯だけでなく、歯肉、舌苔などの汚れを取ることを意識して下さい。

夜は殺菌性のある唾液が減ることもあり、歯周病菌、虫歯菌が増えます。歯間ブラシも効果的です。

また、鼻を使わずに口だけで呼吸している方ですと、寝ている間に口の中が乾いてしまいニオイが出てしまいます。そのため寝る前にはしっかりと口の中を綺麗にしておいて、細菌のエネルギーとなる食べカスなどをなくす必要があります。

 

朝は、夜のうちにどうしても細菌が繁殖しているため、口臭が気になる場合があります。しかし、朝も夜も繰り返し綺麗にすることによって、口臭を抑えることが出来るようになります。

また、唾液の分泌が少なくなるドライマウスも口臭を助長します。ドライマウスは口臭以外にも様々な弊害があります。重症の方は感染症や嚥下機能低下となる可能性もあるため、歯科医院以外の医療機関での受診もおすすめします。

 

●口臭はどうしたら分かるの?

当院では、患者様の虫歯や歯周病のリスクを確認できる唾液検査を実施しています。

その中に、口臭測定の基準となる唾液中のアンモニアの多さを見る項目も含まれています。この方法により、ご自身に口臭のリスクがあるか参考にすることができます。

口臭についての話題は雑誌や記事でもよく見かけると思いますし、お口のニオイは誰でも気になるものかと思います。セルフチェックの方法も紹介されていたりします。しかし、心配し過ぎるのはストレスとなり良くありません。ご自分のタイプや状態、適切な治療法を知ることが何よりも大切です。

唾液検査をご希望の方は、初診予約や電話問い合わせの際お気軽にご相談ください。