歯科の豆知識

子どもはどうして歯磨きを嫌がるの?

夏休みに入り、家族との時間をゆっくり過ごす方もいらっしゃることでしょう。

お子さんの夏休みや冬休みなどの長期休みの期間を利用して、定期的に歯科を受診される方も多いのではないでしょうか?

当院でも、この時期になるとお子さまの来院率が高くなるため、いつもより活気のある雰囲気になっています。

小学生になるとある程度のことが一人でできるようになりますが、小さなお子さんはそうもいきません。

特に、親御さんにとってお子さんの歯磨きは難題だと思います。

 

「嫌がって歯磨きをさせてくれない」

「口を開けてくれない」

「自分が上手に歯磨きしてあげられない」

 

当院でもこのような相談をよく受けます。

そこで今回は、子どもさんへの上手な歯磨きの仕方についてお伝えいたします。

 

●タイプ別、歯みがき攻略法!

歯磨きをするときにどんな声かけが響くのか、一人ひとりの性格に合わせて変える必要があります。

子どもさんは、「ロジカルタイプ」「ビジョンタイプ」「ピースタイプ」の大きく3つのタイプに分けられると言われています。

 

▼ロジカルタイプ

 

 

自分で計画をたててその通りにやりたいタイプ。

ゴールや目標を決めて計画的に取り組むことが得意とされています。

 

ロジカルタイプの特徴:

  • 「自分で決めたい!」「自分のペースでやりたい!」
  • 「できる」か「できない」かを事前に頭の中でシュミレーションし、できると判断すると行動に移す
  • 具体的な事実を伝えて褒めることでモチベーションがアップする

 

ロジカルタイプのやる気スイッチ:

  • あらかじめ時間を決めておく

例「8時になったら⻭を磨こう!」

  • 具体的に指示する

例「このブロックケースにしまおう」

  • 自分で選択させる

例「今からやる?ご飯の後でやる?」

  • 具体的に褒める

例「1人で着替えられたね」

 

タブーなこと:

・急な計画変更

・「早く!」「今すぐやって!」とせかされる

・抽象的な指示

 

計画が立てられなかったり、計画通りに動けなかったりすると、何をどうしていいかわからなくなってしまいます。

 

 

▼ビジョンタイプ

 

 

とりあえず動いから考えるタイプ。

状況に応じて臨機応変に対応することができます。

 

ビジョンタイプの特徴:

・急な予定変更があっても「楽しそう」「面白そう」と思ったことには「やりたい!」と感じて行動することができる

・想像力豊かで、頭の中に映像を思い浮かべながら話をすることができる

・オーバーに褒められるとモチベーションが上がる

 

ビジョンタイプのやる気スイッチ

  • 褒められる予感を引き出す

例「〜できたら凄いんだけどな!」

  • できたことに注目して大げさに褒める

例「すごい!」「頑張ったね!」

  • 抑揚をつけて短い言葉で伝える

例「かっこいいね!」「お兄さんみたいだね!」

 

タブーなこと:

・⻑い話や細かい指⽰

・間違いを指摘される

・「いつになったらやるの!」と予定を決めさせられる

 

話の要点だけを知りたい、自分の直観や感性で動きたい、という気持ちが強いので、親が細かく決めたり指示をしてしまうとやる気をなくしてしまいます。

 

 

▼ピースタイプ

 

 

自分より相手を優先します。

人の役に立ちたい、相手の喜ぶ顔が見たいという思いから行動することが得意です。

 

ピースタイプの特徴:

  • 「ありがとう!」「嬉しい!」などの感謝の言葉がモチベーションアップに繋がる
  • 人の和を重視し、波風を立てることが嫌い

・他人と比較されたり、競争させられたりするとモチベーションは下がる

  • 目的がはっきりする、「なぜ?」「どうして?」と理由や経緯を知ることで、納得して行動することができる

 

ピースタイプのやる気スイッチ

・隣にいる安心感を与える

例「一緒にやってみよう!」

・理由を伝える

例「お⺟さんは〇〇をしなきゃいけないから、〇〇ちゃんは〜してね!」

・具体的なゴールを説明する

例「この練習をすると〜ができるようになるよ!」

・気持ちを伝える

例「頑張っているところを見れてうれしい!」「助かった!」:

・お⼿伝いをしてもらう

例「〜⼿伝って!」

 

タブーなこと:

・「〇〇ちゃんはやってるんだって」「〇〇さんよりがんばったね!」と人と比べる

・「あとはおねがい!」「ひとりでできるでしょ!」と急にひとりでやらせる

・大きな声で伝える

・「やるのが当たり前でしょ」と理由を伝えない

 

迷惑をかけたくないという気持ちが強く、相手のことがわからないと不安に感じてしまいます。

 

●それぞれのタイプにあわせて声掛けしてみましょう

それぞれのタイプによって、声かけの方法が変わります。

ロジカルタイプであれば、いつ歯磨きするか、どうやって歯磨きするか、いろんな選択肢の中から選んでもらうようにしましょう。

もしかすると、すでに「こうしたい」という計画があるかもしれないので、それに耳を傾けることも大切です。

 

ビジョンタイプは、褒められるとわかると積極的に行動します。

逆に「歯磨きしなさい!」と決めつけられると一気にやる気を失ってしまうため、計画通りに歯磨きができなくても、まずはやりたくなる気持ちを優先してあげてください。

 

ピースタイプの子どもさんには、感謝の気持ちが何より大切です。

直接でなくても、例えば「お父さんが歯磨き上手になったねって褒めてたよ」と間接的に伝えることも有効です。

 

子どもは日々いろんな成長をとげています。

思考や行動が変化するに伴って、性格も大きく変化します。

同じやり方だといつかうまくいかなくなる可能性もありますので、「あれ?」と思ったときは、子どものやる気スイッチがどこにあるのか、どんな言葉をかけたらやる気が引き出されるのか、もう一度見直してみてはいかがでしょうか。