歯科の豆知識

ガミースマイル、逆ガミー、落ちベロ…ってなんですか

先月は「口ボコ」と呼ばれる、SNSからひろまった造語についてお伝えしました。

口ボコ以外にも、実はSNSの影響で多くの人に知られるようになった、お口に関する単語があります。
その中でも、今回は3つの単語についてお伝えしていきます。

 

●ガミースマイル

ガミースマイルのガミーとは、英語の「gum」の形容詞「gummy」からきています。

「gum」とは日本語で「歯ぐき・歯肉」を指します。

つまり、ガミースマイルとは、笑ったときに大きく歯ぐきが見える状態のことをいいます。

単に歯ぐきが見える状態を指すだけなので、どこからがガミースマイルで、どこまでが一般的なスマイルかなどの明確な基準はありません。

いわゆる個性の一つでもありますが、SNSが普及して以降、ガミースマイルがコンプレックスという方も多くなったように感じます。

 

▾ガミースマイルの原因

・骨格や歯並び

・歯の大きさ

・唇や上唇挙筋の問題

大きくこの3つが原因です。

 

・骨格や歯並び

遺伝的な要素もあるため、親族にガミースマイルの方がいらっしゃる場合は、骨格や歯並びが原因の可能性があります。

多くの場合は矯正治療で改善することができますが、骨格の問題が大きい場合は、外科的な治療をすすめられるかもしれません。

 

・歯の大きさ

もともとの歯が小さい、もしくは大きく歯ぐきが被っている場合は、ガミースマイルになりやすいといえます。

こちらは矯正治療では改善が難しいため、歯ぐきを一部切除したり、骨のラインをかえるなどの外科的な処置が必要です。

 

・唇や上唇挙筋の問題

笑顔の素敵な方は、口角がキュッと上がり、左右にしっかりと唇がのびていると思います。

上唇が薄いと、笑ったときに歯ぐきのラインを十分に覆い隠せず、ガミースマイルになりやすいです。

また上唇挙筋とよばれる、上唇を持ち上げる筋肉が発達していると、左右にのばすよりも上に上唇を持ち上げてしまうため、歯ぐきが見えやすくなってしまいます。

 

これらが原因の場合は、唇や筋肉の使い方を工夫するだけで、きれいな笑顔をつくりあげることができますよ。

 

●逆ガミー

逆ガミーとは、逆ガミースマイルの略語です。
ガミースマイルとは、笑ったときに歯ぐきが大きく見える状態のこととお伝えしました。
逆ガミースマイルとはその反対で、笑ったときに唇が覆いかぶさり、歯が見えなくなることをいいます。

 

 

 

▾逆ガミースマイルの原因

・骨格

・加齢

・歯ぎしりなど

大きくこの3つが原因です。

 

・骨格

先ほどもお伝えしたように、骨格は遺伝的な要素もあるため、親族の方に逆ガミースマイルの方がいらっしゃれば、骨格が原因の可能性があります。

下顎に比べて上顎が小さいと、逆ガミースマイルになりやすいといえます。

骨格が原因の場合は、外科的な治療を受けないと改善は難しいでしょう。

 

・加齢

口角がキュッとあがっていると、笑顔のきれいな印象になりますよね。
口の周りには、非常に多くの筋肉があります。加齢とともにそれらが衰えると、口角が下がり、笑っても歯が見えなくなってしまいます。いわゆる老けた印象になりやすいといえます。

口周りの筋肉を鍛えることで、若々しい素敵な笑顔を取り戻すことができますよ。

 

・歯ぎしりなど

日々の歯ぎしりによって、少しずつ歯が削られ、気づいた時には前歯がほとんどなくなっていたという方もいらっしゃいます。

笑ったときに見える歯の量が少なくなりますから、自然と逆ガミー状態になりやすいです。
削れてしまったものを元に戻すことはできませんが、セラミックなどのかぶせ物を入れることで、見た目はかなりよくなります。

 

冒頭にもお伝えしたように、ガミースマイルは病気ではありません。

むしろ、ガミースマイルがかわいい!と思えるような女優さんもたくさんいらっしゃいます。
あまり気にしすぎないようにされるとよいかもしれません。

 

 

●落ちベロ

落ちベロ

初めて聞く方も多いのではないでしょうか?

コロナ禍での数年の自粛生活で、この状態になっている方が増えていると言われています。
落ちベロとは、その名の通り、ベロ=舌が本来よりも落ちた位置にある「低位舌」のことを指します。

 

 

舌は本来、上あごにぴったりとくっついているのですが、舌が衰えると、上の前歯の裏に舌先が当たったり、舌が宙ぶらりんな状態になったりと、文字通り舌が上あごから落ちてしまいます。

この状態が続くと、下記のような問題が起こりやすくなります。

・歯並びが悪くなる

・滑舌が悪くなる

・顔が垂れ下がった印象になる

・口呼吸が進む

・いびきをかきやすくなる

 

▾落ちベロの原因

・姿勢の悪さ

パソコンやスマホを見る時間が長いと、だんだんと姿勢が悪くなります。
顎が前に出るようになると、比例して舌は垂れ下がっていきます。

デスクワークの多い方や、スマホで動画を見ることが多い方などは、注意が必要です。

 

・口呼吸

口呼吸が原因で落ちベロになる方も多くいらっしゃいます。
舌がしっかり上あごについていると、口を開けても呼吸できませんよね。
口で呼吸するためには、舌を上あごから離す必要があります。

したがって、口呼吸の癖のある方は、舌が落ちてしまっている可能性が高いです。

 

・筋肉の衰え

舌は筋肉のかたまりです。使えば発達しますが、使わなければ衰えていきます。

特にコロナ禍で人と接する機会が減り、舌を使う頻度が激減したことで、気づかないうちに舌が衰えている方もいらっしゃいます。
マスクを取った自分の顔を見て、「あれ、こんな顔だったっけ?」と思った方は、要注意です。

その他にもさまざまな原因がありますが、コロナ禍で落ちベロが増えた大きな原因はこの3つでしょう。

 

 

SNSで広がり認知が進む造語ですが、実際に昔に比べてそのような状態になっている方も増えているのかもしれません。

口元の美しさは第一印象を左右します。

こちらをぜひ参考になさってください。

 

 

 

 

 

参考:「ShillHa正しい下の位置はどこ?舌がつかれる原因の位置による影響、トレーニング方法を解説」