歯科の豆知識

その痛みの原因は?

冷たいものがしみる、甘いものを食べると歯が痛い、噛んだときだけ痛い、何もしていないのにズキズキする…など、一言に「イタイ」といってもその症状はさまざまです。

また同じ痛みであっても、その原因が異なることもあります。それを正確に診査・診断して治療を行っていくのが歯科医院の務めです。

痛みの原因

痛みの原因もひとつではありません。主な原因をご紹介します。

・むし歯

むし歯によって歯が溶かされているため、痛みを感じます。痛みの現れ方は人それぞれですが、むし歯になっているところに食べ物などがはさまると痛かったり、甘いものや冷たいものがしみやすくなったりすることが多いです。

歯の神経までむし歯が進行すると、夜も眠れないほどの激痛に襲われることもあります。

進行度によってはまったく無症状のこともありますので、診察に来られてむし歯があると知って驚かれる方もおられます。

ただし、虫歯が進行してすでに神経が死んでいる、もしくは治療で神経を除去している歯は痛みを感じませんので、痛くないからむし歯がないと安心するのは要注意です。

 

・歯周病

日本人の歯の喪失原因の第1位は、むし歯ではなく、歯周病です。

歯周病は進行しないと自覚症状が現れない沈黙の病です。

そして自覚症状が現れたときには、もとの健康な状態に戻すことがかなり難しくなります。

初期症状としては、歯みがきをすると出血しやすかったり、何となく歯ぐきが腫れぼったかったりします。歯周病が進むにつれて症状が悪化し、何もしていないのに出血したり、口臭が気になったり、歯がグラついて食べると痛みが出たり、日常生活に支障をきたすこととなります。

また、歯周病は歯だけでなく、体の他の部分にも悪影響を及ぼすことがありますので、要注意です。(詳しくは歯周病をお読みください)

 

・知覚過敏

知覚過敏はさまざまな理由で歯の表面の硬い層(エナメル質)が削れてしまい、歯の根元のやわらかい層(象牙質)が露出することで、冷たいものがしみやすくなります。人によっては常温の飲み物や、風が当たっただけでもしみるという方もおられ、ひどくなると飲食もままならなくなることも。

根本的に解決することが難しいですが、しみ止めの薬を塗ったり、根元を材料で覆ったりすることで、一時的な症状を緩和することはできます。

 

・歯ぎしり・食いしばり

日常的に歯ぎしり・食いしばりを行っていると、毎日少しずつ歯にダメージがたまっていきます。歯の表面が削れてしみやすくなったり、歯の根っこを覆っている歯根膜という組織に炎症が起きて痛んだりと、むし歯や歯周病でもないのに痛みの症状が現れます。

・破折(歯にひびが入る)

歯にひびが入ると、噛んだときズキッと痛みが走ることがあります。他にもむし歯と同じような症状が現れるため、むし歯を疑って受診される方も多くいらっしゃいます。

神経が死んでいる、もしくは神経を除去した歯であれば、破折部から細菌が入り込み、歯ぐきが腫れたり、歯ぐきから膿がでたりします。

 

・膿がたまる

破折やむし歯によって、歯の根っこに細菌が侵入することで膿がたまっていきます。歯が浮いているような感じや、歯や歯ぐきに違和感を覚えます。人によっては強い痛みを訴えられることもあります。

進行した歯周病でも、膿が出ることがあります。

 

 

このように、同じ「イタイ」と感じる症状でも、その原因は人によって異なります。

当院では、こうした多種多様な痛みの原因を見つけ出し、根本解決することを一番に考えております。

そのためには、正確な診断を行うための検査が絶対に欠かせません。

痛みが強いと検査をつらく感じることもあると思いますが、みなさまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

診査方法

歯科医院では、いくつかの検査をして痛みの原因を探っていきます。検査と聞くと、レントゲンを撮るだけでは?と想像されるかもしれませんが、レントゲンだけでは正確な診断ができないことも多いのです。

 

・レントゲン

歯や骨の状態を確認することができます。むし歯があると、レントゲン上には黒っぽい影のようなモヤモヤが映り込みます。これが歯のどのあたりまで進行しているかで、治療方法や症状の現れ方が変わっていきます。あくまでもおおよその位置がわかるものですので、実際に治療してみると、予想よりもむし歯が深かったり浅かったりということもあります。

・歯科用CT

平面的なレントゲンとは違い、立体的にお口の構造を撮影できる歯科用のCTです。インプラント治療や親知らずの抜歯など、骨の密度や正確なお口の状態を知りたいときに使用します。

レントゲン上では何となくの情報は得られても、実際にどこにどれだけの何があるのかまでは確認することができません。

これに対し歯科用のCTは、骨の状態や密度、顎の神経の位置、歯の神経の本数にいたるまで、非常に細かな情報を正確に撮影することができるのです。

 

・電気歯髄検査

歯髄とよばれる歯の神経に微量の電気を流して反応を調べる検査です。「ピリッ」とした刺激が一瞬走りますが、この状態が正常な反応です。何らかの理由でこの歯髄が死んでしまうと、電気を流してもまったく刺激を感じなくなります。歯髄の異常が疑われる場合、この検査をしてその状態を確認していきます。

 

このほかにも、歯を直接コンコンと叩いたり、熱いものや・冷たいものをあてたときの反応を見たり、かたいものをギュっと噛んで痛みの有無を調べたりなど、痛みの部位を特定するさまざまな検査があります。

また実際にお口の中を確認することも、立派な検査の一つです。レントゲンにはうつらなかったけれど目で視たら、むし歯が見つかるということもあります。

患者様から「気になるけど痛くないから放っておいてもいいのですか?」とお電話いただくこともありますが、どんな病気が隠れているかは検査してみないとわかりません。定期的に歯科医院で状態をチェックすることをおすすめします。